キャリアアップや転職を目指すとき、スキル習得の選択肢の一つとして専門学校があります。しかし、社会人が働きながら専門学校に通うのは「きつい」「つらい」というイメージを持つ人も少なくありません。
仕事と学業の両立は簡単ではありませんが、目的やライフスタイルに合った学校選びをすることで十分に可能です。
この記事では、社会人が働きながら専門学校に通うメリットやデメリット、向いている人の特徴、学校の選び方、学費補助について詳しく解説します。「スキル習得のために専門学校へ通うべきか悩んでいる」という方は、最後まで読んで、後悔しない選択のヒントにしてください。
社会人が働きながら専門学校に通うのはきつい?
社会人が働きながら専門学校に通うのは簡単ではありませんが、自分に合った学校を選べば、仕事と学業の両立は十分に可能です。仕事終わりや休日に授業を受けることになるため、体力的・時間的な負担は避けられません。しかし、生活リズムに合った通学スタイルを選ぶことで、働きながらでも新しいスキルや資格を取得できます。
近年は社会人向けに夜間部や週末コースを設けている専門学校も増えており、仕事を続けながら学べる環境が整ってきています。
社会人の入学者数と割合
令和7年の文部科学省の調査によると、専門学校に在籍する社会人は約3.3万人で、全体の約6%を占めています。現在は「リカレント教育」が国を挙げて推進されており、キャリア相談や学費などの支援制度も整っているため、社会人でも学びやすい環境といえるでしょう。
リカレント教育とは
社会に出た後も、仕事に活かせる専門知識やスキルを身につけるために学び直すことを指します。人生100年時代といわれる今、技術革新の急速な進展や社会の変化に対応し、働き方の幅を広げることを目的としています。
キャリアアップや資格取得を目指す社会人にとって、専門学校は有力な選択肢の一つです。
働きながら学べる3つの学習スタイルとスケジュール例
社会人が働きながら学ぶ場合、主に以下の3つの学習スタイルがあります。
| 学習スタイル | 授業時間 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 夜間部 | 平日の18:00~21:00頃 週5日が多いが学校により異なる | ・定時で退社できる ・対面で学びたい ・自己管理が苦手 |
| 通信制 | 好きな時間 対面授業・試験・自習などで通学する場合もある | ・近くに学校がない ・残業や出張が多い ・自分のペースで学びたい |
| 土日コース | 土日の午前~夕方が多い 土曜もしくは日曜が多いが両方のコースもある | ・残業が多い ・休日に集中して学びたい |
「夜間部」「通信制」「土日コース」のスケジュール例を紹介します。
【夜間部】
- 6:30起床
- 8:30出社
- 17:30退社
- 18:00授業開始
- 21:00授業終了
- 23:30就寝
- 8:00起床
- 10:00課題・復習
- 12:00自由時間
- 23:30就寝
【通信制】
- 6:30起床
- 8:30出社
- 19:00退社
- 21:30オンライン学習
- 23:30就寝
- 8:00起床
- 10:00課題・復習
- 12:00自由時間
- 23:30就寝
【土日コース】
- 6:30起床
- 8:30出社
- 19:00退社
- 22:30課題・復習
- 23:30就寝
- 7:00起床
- 9:00授業開始
- 16:00授業終了
- 17:00自由時間
- 24:00就寝
いずれのスタイルでも課題や試験前など、授業以外にも学習時間を確保する必要があります。通勤時間や仕事の休憩中などのスキマ時間を上手に利用して効率的に学習すると良いでしょう。
働きながら専門学校に通うメリット
社会人が仕事を辞めず、働きながら専門学校に通うのは以下のようなメリットがあります。
- 転職に有利な資格を取得できる
- 即戦力となる専門スキルを習得できる
- 収入を維持しながら学べる
- 転職時のリスクが低い
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
資格を取得できる
専門学校では、キャリアアップや転職に有利な資格を取得できます。資格取得に向けて体系的に学べるため、独学では取得が難しい資格でも高い合格率が期待できるでしょう。
国家資格のなかには、理学療法士や歯科衛生士、美容師などのように指定養成校への通学が必須で、専門学校の夜間部でも取得できる資格があります。また、独学では難しいITやデザイン系などのスキル習得も可能です。
働きながら市場価値の高い資格を手に入れられる点は、専門学校に通うメリットの一つです。
即戦力となる専門スキルを習得できる
専門学校に通うことで、現場で即戦力となる専門スキルを効率的に習得できます。独学や通信講座とは異なり、実践的なスキルの習得を目的としたカリキュラムが組まれています。
講師の多くは現場での経験が豊富なため、実務でつまずきやすいポイントや効率的な仕事の進め方など、業務に直結するリアルな指導が可能です。最新の設備やツールを使用した実習も充実しているため、実務レベルのスキルを在学中に身につけられます。
社会人が専門スキルを身につけることで、社会経験を活かした即戦力として、転職時にも大きな強みとなるでしょう。
収入を維持しながら学べる
働きながら専門学校に通うことで現在の収入を維持でき、経済的な不安を抑えられます。仕事を辞めて通う場合は、学費に加えて交通費や生活費などを事前に用意しておく必要があります。
一方、安定した収入があれば、毎月の給料から計画的に支払えるため、十分にお金が貯まるまで入学を待つ必要がなく、学習への一歩を踏み出しやすいでしょう。
貯蓄を切り崩す生活は想像以上にプレッシャーとなり、通学を続けられなくなる可能性があります。仕事を辞めずに専門学校に通うことで精神的な負担も抑えられ、学習に専念できる点はメリットといえます。
働きながら専門学校に通うデメリット
社会人が働きながら専門学校に通うには、多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットも考えられます。
- 時間・体力的にきつい
- 資格取得まで時間がかかる場合がある
ここではデメリットについて詳しく解説します。
時間・体力的にきつい
社会人が仕事をしながら専門学校に通ううえで不安なのは、時間と体力の負担が大きいことです。仕事と学校の両立が始まると、授業だけでなく、課題やテスト勉強の時間を確保する必要があり、1日のスケジュールは過密になります。休日やプライベートな時間が大幅に減ることは覚悟しなければなりません。
また、睡眠時間が削られ、十分に疲労を回復できず、仕事や勉強に支障をきたすリスクも考えられます。
途中で挫折しないためには、隙間時間を上手に活用して学習するなど、時間や体力の負担を軽減することが大切です。さらに、職場や家族の理解と協力を得ることで、より集中して学びやすくなります。
資格取得まで時間がかかる場合がある
働きながら専門学校に通う場合、昼間部と比べて、資格取得までに期間を要するケースがあります。夜間部や土日コースでは、昼間部より授業時間が短いカリキュラムが組まれていることが少なくありません。昼間部では2年で卒業できるコースが、夜間部では3年に設定されている学校もあります。
また、仕事と学校を両立するなかで十分な学習時間が確保できず、単位を落としたり、資格試験が不合格になったりするリスクも考えられます。
仕事をしながら専門学校に通う場合は、事前に資格取得に必要な年数をしっかり確認し、在学期間が長期にわたることを想定したキャリアプランを立てましょう。
働きながら専門学校に通うのが向いている人は?
社会人が仕事をしながら専門学校に通えるのか、不安に感じる方は少なくありません。次のような人は、働きながら通うのが向いているといえます。
- 目的が明確な人
- スケジュール管理ができる人
- 限られた時間で効率良く学びたい人
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
目的が明確な人
「卒業後にどんな姿になっていたいか」という明確な目的がある人は、働きながら専門学校に通うのに向いているといえます。
社会人が働きながら専門学校に通う場合、今よりも体力的・時間的な負担が大きくなることは避けられません。目的がはっきりしていないとモチベーションを保ちにくく、学習を継続できなくなる可能性があります。
「資格を取得する」「スキルを身につけて転職する」「独立・開業を目指す」など、具体的なゴールを設定している人は、ハードな生活のなかでも強い意志を持って学習に取り組めるでしょう。
スケジュール管理ができる人
働きながら専門学校に通う人にとって、学習時間を確保できるかどうかは重要なポイントです。そのため、日々のスケジュール管理がしっかりできる人は、仕事と学業の両立に向いています。
仕事・学業・プライベートを同時にこなすには、隙間時間の活用や仕事の繁忙期を考慮した学習が必要となります。また、体調不良や突発的な残業などの急なスケジュール変更にも柔軟に対応できるよう、余裕をもった計画を立てることも大切です。
日頃から優先順位を意識した時間の使い方をしている人は、忙しい生活のなかでも効率的にスキルを習得でき、目標達成につながりやすいでしょう。
限られた時間で効率良く学びたい人
仕事と学業を両立する場合、使える時間は限られてきます。限られた時間で成果を出したい人は、働きながら専門学校に通うスタイルが適しています。
専門学校のカリキュラムは、実務に必要なスキルを効率よく学べるように設計されていることが多く、無駄のない学習が可能です。特に社会人向けコースでは、重要なポイントに絞った授業が行われるため、独学よりも短期間でのスキル習得が期待できます。
学費がかかっても、最短で目標を達成したいと考える社会人にとって、専門学校は有力な選択肢の一つになるでしょう。
社会人が利用できる学費補助・奨学金
社会人が専門学校に通う場合、一定の受給要件を満たしていれば、「教育訓練給付金」の制度を利用できます。
教育訓練給付金とは?
厚生労働大臣が指定した教育訓練を受講・修了した際に、費用の一部が給付される制度です。対象となる教育訓練は、夜間や土日、オンライン講座を含めて約17,000講座あり、ハローワークでの申請手続きが必要です。
対象となる教育訓練は以下のような3種類に分類され、給付率がそれぞれ異なります。
| 教育訓練の種類 | 給付率 | 対象講座 |
|---|---|---|
| 専門実践教育訓練 | 最大で受講費用の80% ※年間上限64万円 | 特に労働者の中長期的キャリア形成に役立つ教育訓練 |
| 特定一般教育訓練 | 最大で受講費用の50% ※上限25万円 | 特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に役立つ教育訓練 |
| 一般教育訓練 | 受講費用の20% ※上限10万円 | 上記以外で雇用の安定・就職の促進に役立つ教育訓練 |
厚生労働省が指定した講座は「教育訓練講座検索システム」で検索できます。
受給には以下のような条件があり、条件を満たしていれば、パートやアルバイト、派遣社員でも受給可能です。

受給条件の詳細や手続き方法は、居住地を管轄するハローワークに問い合わせてください。
また、社会人でも一定条件を満たせば、日本学生支援機構の奨学金や学校独自の奨学金などを利用できます。職種によっては、卒業後に指定の就職先で勤務することを条件に、奨学金や修学資金制度を設けている場合があります。
入学を検討している方は、社会人でも利用できる制度があるか確認することをおすすめします。
社会人が働きながら通える専門学校の選び方
働きながら専門学校に通う場合、社会人でも継続しやすい学校を選ぶことが重要です。学校選びでは、以下のポイントをチェックしましょう。
- 職場や自宅からのアクセス
- 社会人の在籍率や年齢層
- 就職・転職の実績
- 補講やオンライン対応
ここでは、社会人の専門学校の選び方を解説します。
職場や自宅からのアクセス
社会人の専門学校選びにおいて、カリキュラムと同じくらい重視すべきなのは「アクセスの良さ」です。通学に負担がかかりすぎるとモチベーションの維持が難しく、継続できなくなる可能性があります。
平日の夜間に通う場合は「職場からの通いやすさ」を、休日に通う場合は「自宅からの通いやすさ」を考慮して選びましょう。
最寄り駅から学校までの距離や交通費も確認し、体力的・金銭的に無理のない範囲で通えるかどうかをしっかりチェックすることが大切です。
社会人の在籍率や年齢層
働きながら通ううえで、クラスメイトの年齢層や社会人の割合も確認しておきたいポイントです。
クラスの大半が高校を卒業したばかりの生徒だと、会話が合わなかったり、自分だけ社会人で恥ずかしいと感じたりして疎外感を抱いてしまうリスクがあります。
社会人の在籍率が高い学校であれば、仕事と学業を両立して頑張る仲間と出会うことができ、くじけそうな時に心の支えになるでしょう。また、学校側も働きながら学ぶ大変さを理解しており、学習しやすい環境を用意している傾向があります。
年齢層や社会人の在籍率がパンフレットや公式サイトに掲載されていない場合は、オープンキャンパスや個別相談会などで確認しましょう。
転職の実績
働きながら専門学校に通う目的はキャリアアップや転職が中心であるため、卒業後の転職実績は重要なポイントです。
学校全体の就職率だけでなく、社会人の転職実績があるかどうかを確認しましょう。「自分と同年代で転職できた事例があるか」「どのような企業に採用されたか」など、具体的な事例までチェックすることが大切です。
さらに、転職希望者向けのサポート体制が整っている学校であれば、卒業後の転職活動もスムーズに進めやすくなります。
補講やオンライン対応
仕事をしながら専門学校に通う社会人にとって、補講やオンライン対応の充実度は、学習を継続できるかどうかに大きく影響します。
働きながら通学するうえで、急な残業や出張などによる欠席はどうしても避けられません。遅れを取らないよう、振り替えや補講、授業のアーカイブ配信などに対応しているかを確認する必要があります。
欠席時のフォロー体制が充実していれば、忙しい社会人でも安心して続けられるでしょう。
まとめ
この記事では、社会人が働きながら専門学校に通うメリット・デメリット、向いている人、学費補助、選び方について解説しました。
スキルを習得してキャリアアップや転職を成功させるには、仕事と学業を無理なく両立できる学校選びが大切です。
自分のライフスタイルに合った学校を選ぶことで、仕事をしながらでも専門学校に通うことは十分に可能です。理想の未来に近づくために、一歩踏み出してみましょう。